52週カレンダーマーケット最前線 2025年 クリスマス編
コスパ・タイパ志向が進めた、クリスマス売場の進化
――GMSとSMで分かれた“ちょうどいい非日常”のつくり方
2025年のクリスマスは、イブ・当日ともに平日。
市場調査では、「クリスマスに特別な予定はない」と回答した人が過半数を占め、
イベント全体としては縮小傾向が続いている。
しかし、これは“クリスマス離れ”ではなく、
物価高やライフスタイルの多様化を背景に、生活者は
「コスパ(無駄なく)」と「タイパ(手間なく)」を重視しながら、
自分に合った形でクリスマスを楽しむようになっている。

こうした背景により、GMS(総合スーパー)とSM(スーパーマーケット)では
クリスマス商材の見せ方・売り方・役割 が大きく異なっていた。
今回は、GMSとSMを比較し、
販促戦略・顧客反応の違いから、“勝ち筋”を探ります。
店舗現場で見えた“勝ち筋”のヒント
■ GMS(総合スーパー)
「迷わず選べる」ことが最大の価値に
コスパ×タイパを成立させた“完成形クリスマス”
GMSでは、クリスマスを
「年末最大の食イベント」として捉えつつ、
従来の“豪華一辺倒”から一歩進んだ売場づくりが見られた。
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■調理済み・半調理商品の強化=タイパ対応
ローストチキンやローストビーフなど、そのまま食べられる調理済み商品に加え、
最後にオーブンやフライパンで仕上げの過熱をするだけで出来立てが楽しめる
“半調理商品”も充実。
「すべて任せたい層」と「最後だけは自分で仕上げたい層」の両方に対応し、
平日クリスマスでも“手作り感”と“失敗しない安心感”を両立していた。 -
■価格の分かりやすさ=コスパ対応
セット商品や人数目安POPを活用し、
「いくらで、どれくらい満足できるか」を明確化。
高すぎず、安すぎない“納得できる価格帯”が支持を集めていた。 - ■トルティーヤ×ローストチキンのクロスMD
トルティーヤなどのトレンド食材とローストチキンを組み合わせ、
「そのまま食べる」だけでなく、
翌日はチキンを裂いてタコスやラップにリメイクするといった提案を実施。
食べ残しが出やすいクリスマスだからこそ、
“翌日もおいしく食べ切れる”ことを前提にした設計がされており、
フードロス配慮とコスパ意識の高さが感じられた。
GMSの強みは、
「迷わない」「失敗しない」「まとめて用意できる」という安心感。
コスパ・タイパ志向の生活者に、非常に相性のよいクリスマス売場だった。
■ SM(スーパーマーケット)
「時間もお金もかけすぎない」日常に寄り添う“等身大クリスマス
SMでは、GMSとは対照的に、
“日常の延長線上にあるクリスマス”を丁寧に設計していた。
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■惣菜主役=即完結型のタイパ提案
ローストチキン、フライドチキン、グラタン、パエリアなど、
「買って帰れば終わり」の惣菜が売場の中心に。
仕事帰りの来店動線と噛み合った構成となっていた。 -
■ケーキは「食べ切りサイズ」が主流
3〜4号の小型ケーキやカットケーキが中心。
“食べきれない豪華さ”よりも、
「無駄が出ない満足感」を重視したコスパ設計が際立つ。 - ■一人でも楽しめる“ソロクリスマス”
「誰かと分ける前提」ではなく、“自分のために選ぶ”という文言とともに
ソロクリスマスが提案。
ファミリー向けクリスマスと一線を画していた。 -
■差別化ポイント:切り口で惣菜を“イベント化”する売場
たとえば、「赤」など色をテーマにした惣菜紹介で、売場全体をクリスマスらしく見せたり、
一部店舗では、惣菜を「商品カテゴリ」ではなく、“切り口”で選ばせる提案が目立った。
「スペイン料理」など国別テーマで前菜〜メインまで揃える“コース料理提案”を打ち出したりと、
“何を買うか”ではなく“どんなクリスマスにするか”を選べる設計になっていた。
SMは「やらない理由」に対する解決策で参加ハードルを下げる
コスパ・タイパ時代ならではのクリスマスを提示。
さらに、興味を引く切り口で「やりたい理由」を創出していた。
「来年のクリスマス、どう仕掛ける?」
今後も…
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■平日開催
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■物価高
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■価値観の多様化
は続くと考えられる。
次のクリスマスに求められるのは、
「豪華」でも「節約」でもない、
“ちょうどいい非日常”の提示。
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GMSは「完成度の高さ」と「分かりやすさ」を武器に
-
SMは「共感」と「選べる余白」で差別化を深める
まずは、
「今年の売場は、誰のコスパ・タイパに応えていたのか」
を振り返ることから。
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