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システム導入のその先へ——。<br />MRから始まった“おせっかい”による販促改革。

システム導入のその先へ——。
MRから始まった“おせっかい”による販促改革。

前回は、千葉県の地域密着型スーパーが「郊外型次世代スーパー」をオープンするにあたり、
出店戦略から現場への落とし込みまでをBRINGが伴走した事例をご紹介しました。

深く、そして多角的に支援させていただいたこの関係は、わずか2年ほどで築かれたもの。
では、どうしてそこまで入り込むことができたのか。

今回は、同スーパーマーケットとの出会い、「おせっかい」の原点を紐解いていきます。


MRから見えた、店舗と本部の“ズレ”


お付き合いのきっかけは、グループ会社のYRK&が提供している小売業向けシステムを、
同スーパーマーケットがすべて導入していたことでした。

小売業に特化した支援を強みとしており、
なおかつYRK&のシステムを熟知しているBRINGが加わることで、

「システムの効果をもっと引き出せるのではないか」——。

そう考えたBRINGは、まず自ら店舗を訪れ、現場リサーチ(MR)を行うところからスタートしました。

複数店舗を朝・昼・夕方と時間帯を変えて何度か巡回し、
売場のつくりや販促物、商品展開を細かく観察していきました。

その中で、同じ商品に注目して店舗ごとに比較してみると、あることに気づきます。

陳列方法や展開場所が店舗によって異なり、取り付けられている販促物もそれぞれ違う——。

BRINGは、その背景として、

 「本部が意図していることが店舗に十分に届いていない、
 もしくは、伝える仕組みがないのかもしれない」

または、

 「意図を汲み取っていても、店舗で実現が難しい理由や
 他の意図があるのかもしれない」

と考えました。

この“すれ違い”こそが、売場コンディションの差を生む原因だと感じたのです。

 


「本部の想いを店頭で表現させませんか?」


現場での気づきが提案に変わった瞬間。

課題を明確にしたうえで、BRINGは初回の商談で具体的な改善策を提案しました。
それが、「本部の販売意図を店頭で表現できる仕組みづくり」です。

それまでの運用では、販促テーマや52週MDは存在していても、 

 ・「何をお客様に伝えたいのか」
 ・「どの商品を、どの売場で、どう見せたいのか」

が、店舗側に十分に伝わる状態にはなっていませんでした。

結果として、

 ・店舗ごとに解釈が分かれる
 ・現場判断で独自の売場がつくられる
 ・本部の意図とズレが生まれる

という状況が起きていたのです。

そこでBRINGは、


「販促テーマごとに、“売場で何を表現してほしいのか”を整理し、

すでに導入いただいているシステムを使って、店舗が迷わず実行できる形で渡しませんか?」

と提案しました。

ちょうど店頭演出の強化に課題を感じていた販促担当者のニーズとも合致し、
「ぜひやってみたい」と、即決で採用していただけました。

 


商品部・販促部・店舗を“つなぐ”役割に


提案が通った後は、販促会議に同席させていただき、
まずは現場の動きを徹底的に把握するところから着手しました。

販促部・商品部・店舗という3つが、それぞれの視点で独立して動いていたこともあり、
BRINGは役割を整理し、その“間”に入ってハブとして調整役を担っていきます。

本部では「どんな施策をしたいのか」を丁寧にヒアリングし、
部門ごとの前提や想いを整理していきました。

  •  商品部には
      「何を売りたいのか」「今週の主役商品は何か」

  •  販促部には
      「どんなテーマを届けたいのか」「なぜそのテーマなのか」

一方で、店頭にも足を運び、店長やスタッフに対には、       

  •   「なぜ本部が決めた演出物が付かないことがあるのか」 
      「現場で運用しやすいサイズや仕様、オペレーションはどんな形か」
    といった点を確認しました。



それぞれの立場でそれぞれの想いがあって行動はしてはいたが、
間に立って客観的視点で伝える役割がいなかったことで、
お互いの想いが相手に届かない構造になっていたのです。

そこでBRINGはその“間”に入り、聞き取ったり、確認したりした内容を整理。
本部がやりたい施策を、店頭で無理なく表現できる形に落とし込み、提案していきました。

また、提案した内容が本当に販促意図を表現できているかを確認しながら、必要に応じて調整。
店舗側とは、サイズや仕様、取り付け方、運用方法などを
一緒に試行錯誤し、演出物へ反映していきます。

そして、決まった内容をそのまま渡すのではなく、
本部・店舗それぞれの視点に合わせて“伝わる形”に変換して共有する——。


こうした地道な整理と翻訳を繰り返すことで、
「本部で設計した販促意図」が店頭で表現できる状態へと近づいていきました。

 


一番売るべき商品が明確に


販促の意図が店頭で表現されるようになると、売場の印象は大きく変わっていきました。

以前は店舗ごとに判断しながら売場づくりを進めていましたが、
本部の想いがより明確に伝わることで、売場の方向性がそろっていきます。

その結果、店舗スタッフからも、

 ・「商品がより魅力的に見える」
 ・「今週、何を一番売るべきか迷わなくなった」

といった声が聞かれるようになりました。

同スーパーマーケットがもともと持っていた商品力に加え、
その魅力がよりお客様に伝わるようになり、「POPをつけた商品の売上が上がった」という声も。

さらに、完成したPOPデータを本部から一括配信する運用へ
切り替えたことで、店舗での作業負担も軽減。

浮いた時間を売場整理や接客に充てられるようになり、
結果として売場コンディションの向上にもつながりました。

現場の課題に寄り添いながら、仕組みそのものを改善していったことで、
“売れる売場”の土台が整っていったのです。

BRINGが行ったのは、本部の想いと現場の動きをつなぐ“仕組み”を整える伴走でした。


“データ活用”という次のステップへ


この取り組みを毎月繰り返すことで、同スーパーマーケットとのお取引は本格的に拡大していきました。

演出物を作成していくなかで、POSデータや販売計画も共有していただけるようになり、
取り組みは「データに基づいた販促提案」へと進化していきます。

この「MRから始まった小さな提案」が、やがてデータ分析や販売戦略構築といった、
大きな展開につながっていったのです。


現場起点で考える。だから、解決が生まれる。


BRINGの強みは、会議室の議論ではなく“現場起点”で課題を見つけること。

自ら店舗に足を運び、目で見て感じた気づきを提案に変える——。
それが、BRINGが考える“おせっかい”です。

小売の現場をもっと良くしたい。

その想いがBRINGの原動力であり、そこから生まれた最初の一歩は、
今では同スーパーマーケットの全社的な販促改革へとつながっています。

BRINGは、これからも現場とともに、小売の未来を形にしていきます。

次回は、POSデータなどを活用した「データ販促支援」について、
具体的な事例とともにご紹介します。どうぞお楽しみに。


BRINGは、小売店の未来型経営を支えるパートナー


店舗の課題を解決

BRINGは、小売店サポートのプロ。

ストアコンディションアップは、単なる店舗改革ではありません。

“人の想い”と“データの力”を掛け合わせ、
地域の日常をより安心で、より心地よい時間に変えていく——

小売店の変革を、現場とともに形にしていきます。

少しでも気になった方はコチラからお気軽にご相談ください!

 

ストアコンディションアップ事業部
Y.S
流通小売業界で20年以上にわたり、商品部・販促部・店舗運営部をはじめとする営業の中核部門を経験。
加工食品、菓子、酒、米、日配食品などの主力カテゴリを中心に、PB開発、仕入戦略、販促施策、カテゴリーマネジメントを推進。
さらに、物流再構築や人材事業の立ち上げ、業務請負スキームの構築にも従事し、売上・利益の改善と組織最適化に寄与。
BRING入社後はその知見を活かし、ストアコンディションアップ事業を立ち上げ、責任者として従事。
地域の食品スーパー・メーカーに対し、売場改善、販促設計、業務改善、人材活用、AI活用など多面的な課題に対し、
実行フェーズまで伴走する支援を実施。
特にBRINGでは、全社横断での実行設計と現場運用を通じ、
「仕組みづくりで成長を回し、現場で再現させる設計力」を武器に、再現性と実行力を両立した支援を展開しています。