TOPICS

2026年酒税改正直前の売場を調査! 5社の展開を比較|売場リサーチ最前線

2026年酒税改正直前の売場を調査! 5社の展開を比較|売場リサーチ最前線

駆け込み需要を取り込む、各社の“買う理由”づくり



2026年10月の酒税改正を目前に、酒売場では発泡酒や新ジャンル、チューハイなど、
増税対象商品の駆け込み需要を狙った売場づくりが本格化していた。

今回の改正では、ビールが減税となる一方、発泡酒・新ジャンル・チューハイなどは増税。
酒類間の価格差が縮まり、生活者の商品選びにも変化が予想される。

一方で、酒税改正そのものについては認知していても、「何が、どのくらい変わるのか」まで理解している人は多くない。

また、過去の酒税改正では値上げ直前に需要が大きく伸びた一方、値下げ後の需要の盛り上がりは限定的だった。



だからこそ今回の売場で重要になるのは、単なる「増税前」の告知だけではない。
何が変わるのかを分かりやすく伝え、今買うメリットをどう実感してもらうか。
酒税改正直前の5店舗を調査すると、その“買う理由”のつくり方に各社の違いが見えてきた。

 


店舗現場で見えた“勝ち筋”のヒント



1.関東 GMS店舗

「まとめ買い」を軸に、“選ぶ楽しさ”まで広げる演出

 

売場では「今がまとめ買いのチャンス!!」という共通コピーを複数箇所で展開。
酒税改正前の購入メリットを繰り返し伝えながら、セット販売、ノベルティ、キャンペーンなどを組み合わせていた。

【特設企画】
宝酒造「焼酎ハイボール」は18種類・24本のコンプリートセットを展開。
単純なケース販売ではなく、豊富なラインアップを一度に見せることで、
普段選ばない味を知る・試すきっかけをつくっていた。

さらに、ご当地チューハイを集めた「チューハイ紀行」を展開。
各地の商品を一堂に集めることで、まとめ買いの中にも“選ぶ楽しさ”を加えていた。


【キャンペーン】
アプリ会員限定で、対象チューハイと食料品の購入を条件としたクーポン企画を実施。
「食欲の秋」とお酒を関連づけることで、酒類だけでなく食品との合わせ買いにもつなげていた。


【酒売場】
元売場ではエンドやケース販売コーナーなどに絞ってPOPを設置。
PB商品では「1本98円」「よりどり3本288円」と、複数購入のお得感を分かりやすく伝えていた。

ケース商品にはティッシュ、タンブラー、キャノーラ油などのノベルティも付加。
「値上げ前だから買う」に、選ぶ楽しさや購入特典を重ねることで、まとめ買いする理由を増やしていた。

 



2.関東 SM A店

酒税改正“一色”にせず、酒類全体の購買へ

SM A店では、酒税改正による駆け込み需要を取り込みながらも、
売場全体を増税訴求だけに偏らせていなかった。


【入口特設】
入口すぐの特設売場では、ビールやチューハイをケース単位で大きく展開。
入店直後から増税前のまとめ買いを訴求していた。


【酒売場】
一方で「秋味」など季節限定商品や新商品も専用コーナーで展開。
値上げ対象商品のケース販売を強化しながら、
値下げ対象となるビールも同じ売場に織り交ぜ、
ノベルティなどの購入特典も付加していた。

「値上がりする商品を買う」だけでなく、
酒税改正をきっかけに酒売場全体を見てもらう構成となっていた。 


【食品売場】
加工肉売場ではビールやハイボール缶を併売。「おつまみ+お酒」という利用シーンを見せ、酒類への関心を食品の合わせ買いへ広げていた。

増税前の“今買う理由”だけに頼らず、季節商品や食品との組み合わせまで広げることで、酒税改正を酒類全体の購買機会として活用していた。





3.関東 SM B店

“今のお得”を、次の購買までつなげる

SM B店では、値上げ額を具体的に伝えながら、
価格・ポイント・次回需要を組み合わせていた。

【酒売場】
エンドでは24本ケースと6本セットをまとめて展開し、
チューハイ・新ジャンル・発泡酒それぞれの代表的な値上げ額を提示。

単に「値上げ」と伝えるのではなく、「いくら上がるのか」を数字で見せることで、
9月中に購入するメリットを実感しやすくしていた。

【次回需要】
酒税改正の告知に加え、ボジョレーヌーボーの予約も展開。

酒売場への注目が高まるタイミングを利用し、駆け込み需要だけで終わらせず、次の購買機会へつなげていた。 

【店舗施策】
「家計応援祭」や大型ポイントキャンペーンも同時展開。酒類目的の来店から食品の買い回り、既存会員の購買、新規会員・アプリ利用まで接点を広げていた。 

酒税改正を一時的な駆け込み需要として捉えるのではなく、
来店・買い回り・次回購買・会員獲得まで広げている点が特徴的だった。





4.関東 SM C店

「買いたいけど重い」を解消し、まとめ買いを後押し

 

価格のお得感だけでなく、まとめ買い時に生まれる負担まで
解消する売場づくり
が特徴的だった。

【酒売場】
単品の冷ケースでも「9月中のお買い求めがお得」と訴求。
ケース買いをする人だけでなく、普段は単品購入する人にも買い置きを促していた。

セット商品では、お買い得価格に加えてボーナスポイントや
「よりどり」セールを組み合わせ、複数のメリットを重ねていた。

【購入特典】
一部商品にはノベルティを付加。調査時にはノベルティ付き商品の在庫が少なくなっており、購入を後押しする要素となっている可能性もうかがえた。

【サービス】
さらに「重たい物や大きな物でも玄関先まで配達」と宅配サービスを訴求。

ケース買いが増えるタイミングだからこそ、
「持って帰るのが大変」というまとめ買いのハードルにも目を向けていた。

価格・ポイント・よりどり・ノベルティに加え、宅配まで組み合わせることで、
「買うメリット」と「買いやすさ」の両面からまとめ買いを後押ししていた。



5.関東 格安SM 

「何が変わる?」を具体的に記載

5店舗の中でも、特に酒税改正によってどのくらい値上がりするのかを伝えることに力を入れていた。

【店内告知】
酒売場付近の通路上部には、酒税改正を知らせる同一ポスターを連続掲出。
資材の種類を増やすのではなく、同じ情報を繰り返し見せることで高い視認性を確保していた。
 

【情報発信】
売場では「発泡酒」「チューハイ・ハイボール缶」など、
値上げするカテゴリーを大きく告知。

一方、商品・容量・セット売りごとの
具体的な価格改定内容は一覧にして集約していた。

まず「何が値上がりするか」を瞬時に伝え、
詳しく知りたい人には具体的な価格情報を提示する。

情報量によって販促物の役割を分けることで、複雑な酒税改正を理解しやすくしていた。 

【購入特典】
アサヒ・キリンとの共同キャンペーンに加え、
主要メーカーのケース商品には食品や日用品などのノベルティを付加。

「増税される」という情報だけでなく、
「だから今買うとお得」というところまで売場で完結させている点が特徴的だった。
 

 

 


酒税改正前の駆け込み商戦で見えた「3つの潮流」



①「値上げします」から、「いくら変わる?」まで

酒税改正を知っていても、その内容まで詳しく理解している生活者は多くない。

だからこそ今回の売場では、「増税前!」という大きな告知だけでなく、

「何が上がるのか」
「いくら上がるのか」
「いつまでに買えばいいのか」

まで具体的に伝える店舗が見られた。

特に格安SMの大きなカテゴリー告知+詳細な価格一覧、SM B店の具体的な値上げ額の表示は、複雑な制度変更を“自分の買い物に関係する情報”へ変換する工夫といえる。

 



②「安いうちに」だけではなく、“今買うともっと得”へ


各店で共通していたのが、値上げ前というタイミングに、
もう一つ購入メリットを重ねていること。

ノベルティ、ポイント、よりどり、キャンペーン、セット販売――。

単純に「10月から高くなる」だけではなく、
「9月中なら安い」+「今買えばさらに得」
という二段構えで、ケース買いや複数購入を後押ししていた。


酒税改正という外部要因による需要を、
店舗独自の販促によってさらに大きく取り込もうとする動きが目立った。

 



③ 駆け込み需要を、“酒だけで終わらせない”

今回特に興味深かったのが、酒税改正を酒売場だけのイベントとして捉えていないこと。

GMSでは食品との合わせ買い、SM A店では加工肉とのクロス展開、
SM B店では食品特売やボジョレーヌーボー予約、
さらにアプリ・会員施策まで展開されていた。

駆け込み需要で増える来店や購買を、
食品の買い回り、次回購買、アプリ利用などへどう波及させるか。

一時的な需要増を“その先の購買”につなげる視点にも、各社の工夫が表れていた。





“数字では見えない”購買動機をどう掴むか?


酒税改正前の生活者心理は、単純な「値上げするから買っておこう」だけではない。

「結局、何がどのくらい高くなるの?」
「本当に今買った方がお得?」
「ケースで買うなら、せっかくなら特典がある方がいい」
「まとめ買いしたいけれど、持って帰るのは大変」

こうした“分からない”“迷う”“面倒”を一つずつ解消することが、購買を後押しする。

今回の売場で見られた価格一覧、具体的な値上げ額、ノベルティ、ポイント、宅配サービスなどは、形は違っても、こうした生活者の迷いに応えるものだった。

酒税改正のように制度そのものが複雑なテーマだからこそ、
制度を説明するだけではなく、「自分はどう買えばいいのか」まで
分かる売場に変換すること
が重要になりそうだ。



 


「次の制度改正、どう仕掛ける?」



制度改正は、それ自体が購買理由になる一方で、
生活者にとっては「よく分からないもの」にもなりやすい。

だからこそ売場では、

分かる――何が、いつ、どのくらい変わるのか
得する――今買うメリットを実感できる
選べる――セット、よりどり、商品比較など選択肢をつくる
買いやすい――宅配など購入時の負担を減らす
次につなげる――食品、アプリ、予約など別の購買へ広げる

といった複数の視点が必要になる。

「値上げ前だから買ってください」で終わらせず、
生活者が“今買う理由”を納得できる売場をどうつくるか。

今回の酒税改正直前の売場には、
今後の価格改定や制度変更時の販促にも活かせるヒントが見えていた。



BRINGは、
市場動向 × 現場観察 × 実行力で、
次の一手を共に考えます。

まずは、「背中を押す役割ができたか」を振り返ることから。

 ▶ BRINGの店舗支援(ストアコンディションアップ)については、こちら


“次の一手”を見つけるための、現場起点リサーチ


数字や棚割表だけでは見えてこない、「買う空気」や「選ぶ動機」。
現場の温度・感情・行動を、見える化します。
BRINGでは、現場の温度や感情、行動を丁寧に読み解きながら、

課題の整理・調査・提案・実行まで伴走し

データと掛け合わせて「次に打つべき一手」を導き出します。

【ヒアリングからご提案までの流れ】

 1.課題ヒアリング(オンライン可)
  「イベント感が出せなかった」「若年層への訴求が弱い」など、現場の声を丁寧にうかがいます。

 2.競合・自社の売場を店頭調査
  売場の違い・顧客の動き・POPと商品展開の整合性などを比較します。

 3.改善提案+来年向けの売場設計ご提案
  ターゲットに刺さるメニュー構成・売場設計・体験設計まで、
  現実的で実行可能な打ち手をご提案します。

まずは「今年の結果を一緒に振り返ってみたい」でもかまいません。
お気軽にご相談ください。

 ▶ご相談はこちら