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52週カレンダーマーケット最前線2026年 土用の丑の日編

52週カレンダーマーケット最前線2026年 土用の丑の日編

値下がりした今年、問われたのは「選ぶ理由」



2026年の土用の丑の日は、うなぎの豊漁により、価格が昨年比で2割以上下落
前年よりも手に取りやすい相場となり、さらに、参加しやすい日曜と重なった為、
需要回復への期待が高まる商戦となった。

一方、購入予算は2,000円未満が約7割を占めており、
価格が下がったからといって、無条件に高価格帯へ需要が動くわけではない。

うなぎを購入しない理由としても、

■価格が高い:45%
■この時期に食べる必要を感じない:30%
■うなぎが苦手:25%

が挙げられている。

つまり今年は、単に「安くなった」と伝えるだけでなく、

■予算内で選べること
■価格に見合う品質が伝わること
■うなぎ以外にも参加方法があること

まで売場で示せるかが重要だった。

実際に店舗を見てみると、昨年より価格が下がったとはいえ、
長焼き1尾は1,980円以上の商品が中心で、他の魚と比べると依然として高価格帯だった。
一方で、例年より身が大きいうなぎが目立ち、
豊漁の特徴をどう売場で表現するかには、各社の工夫の違いが表れていた。

今回は、5店舗の売場を比較しながら、
価格が下がった2026年の土用の丑の日商戦で見えた“勝ち筋”を探っていく。


店舗現場で見えた“勝ち筋”のヒント





1.関東 高級スーパー

“品質の理由”を丁寧に伝え、価格への納得感をつくる

この店舗では、コンパクトな売場ながら、
商品の品質や選定へのこだわりが伝わる売場づくりが印象的だった。

 

【水産】

中国産は扱わず、
宮崎県産の長焼き1枚1,980円を中心に展開。

長焼き3本入りの大容量パックから切り身まで14SKUを揃え、
価格帯は1,380円から5,800円までと幅広く設定されていた。

一方で、半身サイズは見られず、
少量需要よりも、品質を重視してしっかり食べたい層に向けた品揃えとなっていた。

特徴的だったのは、
脂のりが良く、身がやわらかい“メスのうなぎ”を訴求していたこと。

単に国産であることだけでなく、
味や食感まで具体的に伝えることで、
少し高くても選びたくなる理由をつくっていた。

また、館内放送では、
土用の丑の日の由来や、うなぎの栄養について紹介。

商品の品質だけでなく、
“なぜこの日に食べるのか”まで伝えることで、
行事への参加理由を補っていた。

【惣菜】

宮崎県産うなぎの脂がのった部分を使った
1,980円のうな重を主力に展開。

その他、うなぎご飯や大サイズのうな重も揃え、
品質を重視したごちそう需要に対応していた。

うなぎを使った惣菜は3SKUと絞られていたが、
売場全体の品質イメージと統一された構成となっていた。

【精肉】

うなぎ以外のスタミナメニューとして、
豚しゃぶ肉×サルサソースを提案。

【店内全体】

店内各所には、タコスやトルティーヤチップスなど、
メキシコ料理に関連する商品が点在していた。

うなぎだけに限定せず、
店舗らしいスタミナメニューを組み合わせることで、
土用の丑の日の食卓を広げていた。



2.関東 SM A店

自社ブランドの“無投薬うなぎ”で売場を統一

この店舗では、水産・魚惣菜・惣菜の各所で、
自社ブランドの“無投薬うなぎ”を前面に押し出していた。

【水産】

鹿児島県産の無投薬うなぎ
1枚1,980円を中心に展開。

並・大・大容量・真空パック・白焼き・白焼き食べ比べなど、
自社ブランドだけで売場の約9割を構成していた。

全体では19SKU、
598円から5,900円までを品揃え。

中国産も3SKU扱っていたが、
ジャポニカ種にこだわっていることをPOPで伝え、
価格帯が異なっても品質への安心感を保っていた。

また、売場には、

■卵焼き
■山海漬け
■日本酒・ビール
■しじみ
■もずく

などを併売。

魚屋の惣菜として、
長焼きを常温で販売していた点も特徴的だった。

【惣菜】

鹿児島県産うなぎを1尾使った
2,980円のうな重を主力に展開。

その他にも、

■中国産うな重
■ハーフサイズうな重
■う巻き
■うなぎおにぎり×卵焼き
■ひつまぶし
■ひつまぶし×牛めし
■寿司商品

など、10SKUを展開していた。

高品質な1尾入りから、
少量・低価格・他の具材との組み合わせまで、
予算や食べ方に応じた選択肢を幅広く用意していた。

【精肉】

うなぎのように長い
サムギョプサル用の豚肉を強化販売。

国産牛ステーキ肉は30%OFFで販売し、
うなぎ以外のごちそう・スタミナ需要も取り込んでいた。

【特設】

うなぎパイ、うな次郎、新生姜、奈良漬け、
茶碗蒸し、そばなど、
うなぎと一緒に楽しめる“+1品”を集積。

うなぎ単品だけでなく、
食卓全体を完成させる提案が行われていた。

【ベーカリー】

うなぎの蒲焼風デニッシュを販売。

水産や惣菜にとどまらず、
店全体で土用の丑の日を楽しませる売場となっていた。





3.関東 SM B店

丁寧な説明とサイズ展開で、“自分に合う一品”を選びやすく

この店舗では、
価格が下がったことを大きく伝えながら、
産地・品質・サイズの違いを丁寧に整理していた。

【水産】

浜名湖産の新ブランド「でしこうなぎ」
1枚2,790円を主力に展開。
ブランドのコンセプトを長尺を使って訴求。

また、大型ポスターや、
うなぎのように長くインパクトのある販促物を使い、

「鰻、今年はお買い得」

と大々的に訴求していた。

鹿児島県産は“焼きへのこだわり”、
中国産は“安心・安全”をそれぞれ説明。

各産地で、

■半身
■長焼き
■大容量

を揃え、
18SKU、500円から2,790円までと、
予算や人数に合わせて選びやすい構成となっていた。

さらに売場各所には、

■長いも
■新生姜
■山椒
■お吸い物
■味噌汁
■酒

を併売。

うなぎを選ぶだけでなく、
食卓全体をイメージしやすい売場づくりが徹底されていた。

【惣菜】

浜名湖産「でしこうなぎ」だが、
尾の部分を使ってコストを抑えた
1,390円のうな重を主力に展開。

品質と手頃さのバランスが良く、
実際に手に取る人が多く見られた。

その他にも、

■中国産うな重
■うな玉丼
■うなちらし寿司
■うなぎサムライおにぎり
■うなぎの蒲焼カツ寿司
■白焼き・蒲焼の食べ比べ寿司

など、11SKUを展開。

定番のうな重だけでなく、
気軽に試せる商品や独自性の高いメニューを用意し、
うなぎの楽しみ方を広げていた。

【特設】

手軽に土用の丑の日を楽しめる
うな次郎チップスを販売。

さらに、

「土用丑の日の、もう一品」

コーナーを設置し、
茶碗蒸し、う巻き、漬物などを集積。

うなぎ単品の購買にとどまらず、
関連商品の買い足しを促す売場となっていた。





4.関東 SM C店

ポイント施策と豊富なサイズで、選択と購入を後押し

この店舗では、
ポイント施策を活用してお買い得感を伝えながら、
豊富なサイズ展開で選びやすさをつくっていた。

【水産】

静岡県産の長焼き
1枚2,980円を主力に展開。

静岡県産だけでも、

■2本入り
■大・並
■カット
■カットの大容量
■串焼き

などを揃え、ボーナスポイントを付与する形で
お買い得感を演出していた。

産地を静岡県産に絞ったうえで、
量や形状を選ばせる構成となっており、
比較のしやすさが感じられた

その他の産地は冷凍で展開し、
冷凍商品だけでも16SKU。

売場全体では23SKU、
990円から3,900円までと、
5店舗の中で最も多い品揃えとなっていた。

また、冷凍・冷蔵・産地・真空パックなど、
商品の状態に合わせた6種類の温め方を掲載した
持ち帰り用リーフレットを設置。

購入後の調理への不安を減らし、
失敗なく食べてもらうためのサポートが印象的だった。

【惣菜】

国産カットうなぎと卵焼きを合わせた
1,980円のうな重を主力に展開。

その他にも、

■中国産うな重
■国産うな重1尾入り
■ひつまぶし
■うなぎ×牛めし
■う巻き

などを展開。

購入予算2,000円未満に収まる商品を中心にしながら、
1尾入りのごちそう商品まで用意していた。

【ベーカリー】

子どもも土用の丑の日を楽しめるように、
うなぎの形をしたパンを販売。

価格・量・食べ方だけでなく、
家族全員が行事に参加できる売場づくりとなっていた。





5.関東 格安スーパー

余計な演出を省き、「産地・大きさ・価格」で比較させる

この店舗では、
華美な装飾や食べ方提案を抑え、
商品の違いをシンプルに比較できる売場づくりが特徴的だった。

【水産】

浜名湖産の新ブランドうなぎ
「でしこうなぎ」1枚2,790円を中心に展開。

うなぎは冷凍の長焼きに絞り
16SKU、990円から2,790円までを品揃えしていた。

特徴的だったのは、
うなぎのサイズを「10kg当たり何尾か」で表記していたこと。

前年よりも大きいことを具体的な数字で示し、
価格だけでなく、サイズ面でのお買い得感を伝えていた。

産地・価格・大きさの違いは明確で比較しやすい一方、
商品の特徴を説明する訴求は少なく、
うなぎに詳しくない人には選びにくさも感じられた。

また、国産・中国産ともに、生産履歴を一覧にして掲示。

乱獲への不安に対し、
安心して選ぶための情報を補っていた。

【惣菜】

中国産うなぎの胴中部分を使った
898円のうな重を主力に展開。

その他にも、

■599円の十字カット商品
■1,590円の国産うな重

などを揃え、
購入予算2,000円未満に収まりやすい構成となっていた。

【精肉】

土用の“牛”にかけて、
和牛を強化販売。

うなぎを食べない層にも、
土用の丑の日に参加できる選択肢を用意していた。

【特設】

土用の丑の日コーナーを設置し、
うな次郎・新生姜・卵焼きを使った具だくさん丼を提案。

うなぎそのものを買わなくても、
手軽に行事気分を楽しめる売場となっていた。


土用の丑の日商戦で見えた「3つの潮流」



① 価格下落を“値下げ”だけで終わらせず、選択肢へ変換

今年は、うなぎ価格が前年より2割以上下落したものの、
購入予算は2,000円未満が中心だった。

そのため各店舗では、単に安さを打ち出すのではなく、

■半身・カット・1尾・並・大・大容量
■宮城産・鹿児島産・浜名湖産・中国産
■蒲焼・白焼き・串焼き・ひつまぶし・蒲焼のカツ寿司・巻き寿司・う巻き・おにぎり

など、予算や人数に合わせて選べる構成を強化していた。

1,000円前後のうな重で気軽な参加を受け止めながら、
国産やブランドをアピールして“せっかくなら少し良いもの”という需要にも対応。

漁獲量が増えた今年だからこそ、各社種類を豊富に取り揃え
“自分に合ううなぎを選べること”が売場の価値になっていた。



②高価格帯には、価格に見合う「選ぶ理由」を用意


全体的に価格が下がった今年だからこそ、高価格帯の商品には、
価格に見合う価値や「選ぶ理由」を明確に伝えることが求められた。

売場では、

■脂のりが良くやわらかいメスうなぎ
■浜名湖産の新ブランドうなぎ
■無投薬の自社ブランド
■焼きへのこだわり
■中国産の生産履歴やジャポニカ種

など、品質や安全性を伝える訴求が目立った。

生活者にとって重要なのは、
単に国産か中国産かではなく、

「なぜこの価格なのか」

を理解できること。

漁獲量の増加や価格下落によって選択肢が広がった分、
商品の背景や違いを丁寧に伝えられる店舗ほど、
高価格帯への納得感をつくっていた。



③ 「うなぎを買わない人」にも、土用の丑の日を提案

うなぎを購入しない理由には、価格だけでなく、

「この時期に食べる必要を感じない」
「うなぎが苦手」

という声もある。

そのため売場では、

■土用の“牛”として和牛
■長いサムギョプサル用豚肉
■豚しゃぶ×サルサソース
■うな次郎
■うなぎ形のパンや蒲焼風デニッシュ

など、うなぎ以外の参加方法も数多く用意されていた。

うなぎを食べる人だけに向けるのではなく、
代替商材や関連商品まで含めて行事の裾野を広げることが、
売場全体の売上を支える動きとなっていた。





“数字では見えない”購買動機をどう掴むか?


今回の土用の丑の日商戦で見えてきたのは、
生活者が求めているのは、
単純な“安さ”だけではないということだ。

予算を2,000円未満に抑えたい一方で、

■せっかくなら品質にもこだわりたい
■食べ切れる量を選びたい
■調理で失敗したくない
■家族の好みに合わせたい

という思いもある。

つまり購買の起点になっていたのは、

「予算内で、納得できる選択をしたい」

という気持ちだった。

だからこそ、
ブランドや品質の説明、豊富なサイズ、温め方の案内、
手頃な惣菜や食べ比べ商品が重要になる。

価格が下がった今年、売場で本当に問われていたのは、
どれだけ安く見せるかではなく、

「この商品なら自分にちょうどいい」と
迷わず選べる状態をどうつくるか

だったのかもしれない。



 


「次の土用の丑の日、どう仕掛ける?」


今回の土用の丑の日商戦で印象的だったのは、
どの店舗も「価格」だけでは勝負していなかったことだ。

相場が下がった年でも、
生活者の予算には明確な上限があり、
うなぎを食べる必要性を感じない人や、苦手な人も少なくない。

だからこそ次の商戦では、

■予算や人数に合わせたサイズ展開
■高価格帯を選ぶ理由が伝わる品質訴求
■温め方や食べ方まで含めた購入後のサポート
■うなぎ以外でも参加できる代替提案

を、売場全体でどう設計するかが重要になる。

うなぎを安く売るだけでなく、
“食べたい人には選びやすく、食べない人にも参加しやすくする”

その両方を実現できるかが、
次の土用の丑の日商戦を伸ばす鍵になりそうだ。



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