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52週カレンダーマーケット最前線 2025年 秋の味覚編

52週カレンダーマーケット最前線 2025年 秋の味覚編

“残暑の大阪”と“秋風を感じる東京”、
地域で異なる季節の入り口をどう捉えたか

2025年の秋は、全国的に季節の移り変わりが遅れ気味だった。
大阪では9月下旬になっても最高気温30℃を超える日が続き、「まだ秋を感じられない」空気が漂う一方、
東京では朝晩の気温が下がり始めようやく秋の訪れを感じる気配が出てきた。

一方で、「黒潮大蛇行」の終息によりさんまは昨年比約2倍の水揚げ量を記録
相場が落ち着いたシャインマスカットなどの果物も並び、
“味覚の秋”を実感できるニュースが市場を賑わせた。
鮭や新米、きのこは価格上昇が懸念されつつも、食フェスなど「食欲の秋」を楽しむ機運が高まり、
季節商戦の活性化が期待された。


今回も、全国にチェーン展開する大手スーパーマーケットの大阪の店舗と東京の店舗を比較し、
商圏特性・販促戦略・顧客反応の違いから、“勝ち筋”を探ります。



 


店舗現場で見えた“勝ち筋”のヒント



■ 大阪|大手スーパーマーケット基幹店


“旬×生活提案”で秋の入口をつくる

大阪では「旬のごちそう」をテーマに、青果・鮮魚・惣菜の3部門が連動。
残暑が続く中でも、“食卓から秋を感じる”売場づくりが際立った。

  農産:シャインマスカット・梨・柿などの秋果物を中心に、産地POPで安心感を訴求。

  水産:さんま・秋鮭が主役。9月末の北海道フェアと合わせて旬と産地の組み合わせ提案を実施。
     レシピを設置するなど“調理を通じて秋を感じる”売場設計が印象的。

  惣菜:秋鮭幕の内・さんま塩焼き弁当・生姜ごはんなど、温かみのある商品を陳列

さらに、今年は新米価格の高騰を受け、
米売場では外国産米で旬の食材を使用した「パエリア」や「炊き込みご飯」といった提案が見られた。
価格を抑えつつも、きのこ・さんま・さつまいもなどのを組み合わせることで、
“お手頃に秋の食欲を満たす”を実現していた。




■ 東京|大手スーパーマーケット基幹店


“秋の味覚×ホット商材”で季節の変化を可視化

東京では「きのこ」を主軸に、秋鮭・さんまといった旬食材を組み合わせた売場構成を展開。

    農産:まいたけ・しめじ・えのき・松茸などを大陳し、“きのこで感じる秋”を訴求。

    水産:秋鮭・さんまを中心に、きのこやビール・ポン酢とクロスMDを実施し、
       “秋の食卓提案”を強化。

    惣菜:秋鮭弁当や牡蠣飯、さんま竜田揚げなど、質と季節感を両立した品揃えを展開。

 非生鮮部門:鍋・おでん・炊き込みご飯の素をエンドで展開し、
       「肌寒くなった夜に食べたい一品」として訴求した。

また、販促物の質も高く、手書きPOP・食品サンプル・レシピ提案カードなどで、
“見て・学べる秋の売場”を構築。サイネージや冊子では、
ワイン×秋の味覚といった文化的提案も目立った。




秋の味覚商戦で見えた「3つの潮流」



① 「残暑」と「秋」をつなぐ“ハイブリッド季節提案”

 大阪では、秋素材を使った惣菜・弁当の展開で“暑いけれど秋を楽しむ”を実現。
 東京では、肌寒い夜向けの鍋・炊き込みご飯提案で“秋の夜の温度差”をうまく演出した。



② “旬の魚”は“お買い得感”より“質と秋らしさ”で訴求

 さんまは安定していたものの、秋鮭は上昇。
 両店舗とも価格ではなく、産地・鮮度・食べ方の魅力を前面に。
 「北海道産」「旬の焼き魚」などのPOPで、“秋を感じる食卓”を印象付けていた。



③ 様々な価格帯が楽しめる“旬の食材”が主役に

 今年は価格上昇が懸念されたが、比較的に価格が安定したきのこ類と、
 流通量が増え相場が落ち着いたシャインマスカットは、
 どちらも様々な価格帯を品揃え、手に取りやすい工夫がされていた。
 大阪・東京ともに、「素材の安定感」×「季節感の表現力」が売場の要となった。





“数字では見えない”購買動機をどう掴むか?


 
  大阪
:残暑を前提に、「温度差を感じる季節の変わり目」に寄り添った売場提案。
     POPとレシピ訴求で、“秋を感じながら食べる心地よさ”を演出。

  東京:朝晩の涼しさを背景に、“きのこから始まる秋”を提案。
     鍋・炊き込みご飯など、温かい家庭料理で来店動機を創出した。

 共通点:どちらの売場も、「気温の変化を感じた瞬間に食を切り替える」
     生活者の“季節スイッチ”を捉えた設計が成果を上げていた。




「来年の秋の味覚、どう仕掛ける?」



2025年の秋は、地域によって季節の進み方が異なり、
“残暑と秋風が同居する商戦”となった。
来年以降は、気候変動を前提に、「メニューの温度」「季節を感じる演出」
柔軟に組み合わせたMD設計が求められる。

なかでも注目したいのは、残暑期にも対応できる“秋の味覚×冷惣菜”という発想だ。
旬の素材を使い、“冷たくても秋を感じる一品”として提案することで、
気温や天候の変化に寄り添った売場づくりが可能になる。

さらに、“食欲の秋”という切り口では、畜産部門にも伸びしろがある
季節感ある味付けや素材を組み合わせることで、
「秋のごちそう」をより多面的に楽しめる売場が期待できる。

気候が読みづらい今だからこそ、
温と冷、魚と肉の両軸で季節をデザインする発想が、次の秋商戦のカギを握る。


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